chopin/Prélude,op.28-15

「雨だれ」のおおまかなところ

ショパンの「雨だれ」と呼ばれている、プレリュード集の中の15番です。
プレリュードとは日本語で言うと「前奏曲」です。
もともと前奏曲というのは、何か別の楽曲や、催しの前に演奏される、という意味合いですが、「雨だれ」が収められている ショパンのプレリュード集 OP.28の24曲はすべて”前奏曲”。
小品ばかりが束ねられています。

今回は、このop28-15通称「雨だれ」の前半部分のリズムを中心に。
前半の綾のようなリズムの重なりが見えてくると、対比的な後半の縦リズムの支配的な鬱積もより理解できるのではないかと思います。
(*綾 /物の表面に現れたいろいろの形・色彩。模様。特に、線が斜めに交わった模様。)

とりあえず、全体の流れの一番大まかな区分け。
第一部1-27小節 Des dur
第二部 12-75小節 Cis moll
第三部 76-90小節 Des dur

4分の4拍子 90小節。ヘンレ版だと3ページ。
特別メカニック的に難しい場所もないので、一見、弾きやすい。
けど、その空気感をつかもうと思うとなかなか、奥深すぎるので、そういう観点から見ると掴めそうでつかめない、するめ曲です。
きこえてこないものは演奏にも響かない。きこえてくるから可能性も生まれる。
もし、この曲で躓いている人がいたら、お役になてるかな?
では、utena流のアナリーゼいきます。

雨だれをutena.drawing

練習してても、平板になってしまったり、一つ何かにこだわると、なにかバランスが悪くなったりで、なかなか、この曲の「あのかんじ」が手に宿ってくれないので、u.d(utena.drawing)で繰り返し、その手応えを模索してみました。
下のドローイングはもう何度も模索した後のもの。(^^)うまく行かないバージョンもとっておけばよかったなあ。これは結構手応えが引っかかってきてよさそう。
なにか、2小節でひとループでオスティナートするとうまくいく、なんだろう?

という感じで、utenaのアナリーゼと演奏模索は始まります。

*utenaのdrawingについては「音楽の生まれる場所から」がわかりやすいと思います。

 

左手の綾模様

冒頭部分です。よく眺めてみませう。

あとで、右のメロディも見ていきますが、先に左の繊細な動きに注目してみます。
雨だれ、と呼ばれる所以の ラ♭ の連続、途切れがちですが・・途切れがちだからこそ、雨だれ、っぽく感じるのでしょうね。まずは一貫して全体がこの8分音符の連打に導かれています。

でも、そればかりじゃない。左手の上の方で、メロディに連動するように動いていく音郡がありますねー。
音の上がり下がりもとりこんで、鉛筆で流れを書き込んでみました。

ラ♭の連打と、上の内声。ときどきイレギュラーな音が入ってきています。赤でくりくりと上書きしたのですが、見えるかな。

右のシンコペーションから始まるメロディの骨格

そして、右。
u.drawingで気がついたのが、この冒頭のシンコペーションの動きが、2小節おごとにやってくること。そうして、それに続く小節は一拍目が伸びる音(開放点)になっている。つまり、シンコペーション、開放、シンコペーション、開放、という ことが地味に繰り返されている、ということでした。
楽譜、ちょっとみではわからない、よくよく眺めてみてください。そしてぜひ演奏してみてください。(^^)(一箇所だけ、合わないとこありますね。)
もちろん、ずっとこのままではなく、違うリズムパターンになっているところもありますが、そこも根底にこの動線の流れが継続している、と体感しながら捉えてみると、音楽が一貫したものになってくると思います。
これは、拍子、という捉え方よりも、リズムモードに近いのかもしれないと思っています。

さてさて、この冒頭のタッカターンというところ、よく、アウフタクトのようにこぎだしてしまう、という失敗ありあり、です。私も昔やってた。
でもここはシンコペーションなんだとわかると、漕ぎ出し方も変わっってきます。ショパンは確信犯的に、そういうことをやってるんだと思います。

それで、u.dで感じた、2小節単位というのが解明。これに乗っていけば良い。

3拍目にあるふくらみ

でも、それだけではこの流れに綾に絡んでくるようなエネルギーが説明できない。
何度も演奏とu.dを繰り返してくうちに、小節のそれぞれ3拍目そこにうんとせり上がってくるものがある気がしてきました。
下のような感じ。


メロディの大枠のリズム(上の②の図)で見ると、伸びる音は一小節目は2拍目、二小節目は一拍目に打点があります。けれど、到達点はどちらも4拍目で、3拍目は浮遊している拍になるという点が同じ。

あらためて、冒頭の伴奏を見てみると、時々見え隠れする不思議な内声の喘ぎは3拍目にやってきます。
まとめて見てみますね。

それぞれが作用しあいながら、流れを作っています。
細かな音はそれに溶けるように、時には煽られるようにして、動いていきます。

中間部分について少し

第一部AsとGisのエンハーモニック(異名同音)の連打は、唐突に短調になり、景色も単調になって、非常にストイックなものになっていきます。

その中で、左手の二声のメロディだけが底のほうから響いてくる、なかなかに、たまらん音です。


この控えめなトントントンは中間部分では、心にまとわりついて消せないもののように、脅迫的で支配的な音になっていきます。そして大きな振り幅の四分音符のメロディが過ぎ去った後に、また雨だれように 単調にそして、子守唄のように振り続ける ラ♭

そして、後半また、もとのメロディに戻って長調で穏やかな終止。。

メロディのu.drawing
については、またあらためて、記事にしたいと思います。


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