この曲の説明をすこし・・

(Saint-Saëns作曲 動物の謝肉祭から白鳥・個人レッスンでのdrawing)
この曲は、原曲が 4分の6拍子。
8分の6ほどまとまった感じでもなく、4分の3ほど単純ではない。
白鳥の優雅で超然としたイメージを作り出すベースとしてこの単位が選ばれたのかもしれない。
作曲家のカミーユ・サン=サーンスはフランス生まれ1835−1921ロマン派後期に活躍した。
この”白鳥”という曲は、室内楽編成の組曲「動物の謝肉祭」の14曲中13番目の曲で、メロディは本来、チェロが演奏する。
ウィキペディアで調べていたら、この組曲には副題がついている。
動物学的大幻想曲。なんとも。
サン=サーンスのアイロニーあふれる組曲の中にあって、白鳥は素直で美しいメロディ。

ゆったりとした楽曲にとりくむときは

ゆったりとした曲は、慣れない人にとっては
一音でとどまって動きが取れなかったりする。
あるいは
一音の情報からつぎへの道のりが遠いから
行き先がわからず、一つ一つたどっていくような演奏になってしまったり。

それは、本人にとっても見通しがつかないんだから、なんとかしたい。

だからといって、テンポをあげすぎても逆に通り過ぎてしまったりで、
なかなか的を定めるのは難しい。

utena drawingによるアプローチ

この曲のピアノアレンジしたものを練習中の大人の生徒さん。
ある程度楽譜通りに弾けるようになったものの、まだまだこわごわ、という感じだったので、 utena drawing (音楽を描く)をしてみましょうかということになった。

目的は、今3拍単位の視野で感じている音楽を、俯瞰的に行く先も見渡せるような状態に持っていくこと。

楽曲をもう一度見渡してみると、この曲は2小節単位で、ほぼ同じ抑揚をくりかえしている。
(utena drawingを提示する側は、こうした見通しを演奏や楽譜から読み取っておくことが必要不可欠。なんとなく、で描くと生徒さんの体感を逆にしばってしまうことになる。)

なるほど。この気流にのってしまえばいいのだけれど。
(ピアノ用のテキストでは、この曲は原曲の1小節を半分にする形で4分の3拍子になっている。多くのピアノアレンジ版がそうなっている。初心者にはこの方が読みやすいかな、と私も思う。その場合は、フレーズの単位は2小節ではなくて4小節)

この気流が、この楽曲の心地よさになっていて、
じゃあ、それはどんな抑揚なのか、を考えて、
それをどんな線で描くと、情報としてすっきりするか、
音楽としての美しさを体感できるか、
それから、
なにより、今の生徒さんに無理なく伝えられるか、
それを判断しながら、
線の動きを探して行く。

ということで、これらいくつかの留意点をイメージして、
今日のこの生徒さんのためのフォルムでオスティナートのドローイングをやってもらった。
最初の下降していく三つの音に囚われすぎないように1小節めの曲線はあえて上向きに。
すこし伴奏に合わせてタイミングを確かめた後、右のメロディだけを私が弾いてみて、それを追いかけるように描いてみる。
体感をおいていかないように、時々様子も伺いながら。
私が結論を急がないように、。
正解ではなく、理解を。
そう、いつもそこを思いながら。

見通しが良くなったところで、
ピアノの前に座って、再び演奏をしてみる。

いつも面白いなあと思うのは、
私が提示したのは、フレーズの繰り返しを流れよく、ということだたのだけど、生徒さんは、もうひとつ上をいく。
3つめのフレーズのディミニッシュの音が、
それは美しく響いたのだった。

見通しが良くなるから、
それぞれのフレーズの特徴もわかってくる、ということなのかのな。

音楽空間を共有できるとき、が、楽しい。