読んでみようと思った動機
「描きながら考える力」!!
そりゃ、読んでみるべきだろう、とまずはその題に興味津々。
私の講座「音楽を描く」でやっているutena drawing も、描きながらいろいろやる、というところで、何か共通点とかありそうだし、参考になることなどもあるんじゃないかとおもったのが読んでみようと思った動機。
「描く」というのを、絵画としてではなく、情報収集や伝達のツールとして使う、というのは、例えば文章で伝え合うのと何が違うんだろう?
「らくがき」とは、思考の助けになる目印を好きなように描くこと
ドゥードルは子どものとき、だれもがやっていた。
この本では、描くことから{絵を描く芸術行為}というハードルを取っ払って、
誰でも子供のときにやったことのある
「らくがき」(ドゥードル)にまで立ち戻るところから始まる。
ラクガキには芸術家としての才能も、高価な美術道具も、本格的な教育も、イメージを表現する「天賦の才」もいらない。
描きながら考えるちから ところでどうして描きかたをまなぶの?から引用
なるほど、そりゃそうだ。
なにはともあれ、鉛筆をぐりぐりすればスタートをきることができる。
もちろんやっていくなかで、より情報を的確に拾ったり、人に伝わるように描く技術は必要になってくるし、この本の後半はその技術をすごく「誰でもできる」という具体さでおしえてくれている。うまくマニュアル化されてあって、使い勝手がいいツールにできていて、これはいい、と思った。
私も講座でいろんな人とやり取りする中で、「描く」ということが最初っから楽しい人ばかりではないことに気がついていた。そして、その垣根をどうやったら、取っ払えるかなと、それも気になっていた。ちょうど、前の講座のときに、この本にあった方法を一つためしてみたら、良い感じ。
つまり、参加者からお題をもらって、私がそのお題の絵を描く。
大事なのは、上手い下手ではなく、とにかく描くこと。それらしく見えればOK
たのしい!!
私自身は、この本を読むまでもなく、大体なんでも、図にしたり、絵にしたり、マインドマップにやってみる、というのは好きなので、この本を読んでさらにぐちゃぐちゃと描いていくことになりそう。
今頭の大半を持っていかれている、「いかに、具体的に、体験的に音楽理論・楽典を伝えるか」というのにも役立ちそうだから、いろいろ試してみよう。
あ、でも、そうだった、誰でも始められるし、その可能性はだれもがもっている、 ということがまずは言いたかった。
ものを覚えるのだって、落書きしながら覚えたほうが集中できるんだって!
それは、utena drawing をやっていても、感じる。リラックスと集中が一緒にある感じ。まず自分がそれを感じる。だから、そりゃ、そうに違いない、と思った。
集中してインプットする。
リラックスする。
心の拡張。
情報を共有する。
これらは、講座でやっているときにも感じているのだけど、このドゥードルにもその力が発揮できる。
すばらしい作家であり漫画家でもあるリンダ・バリーによれば、行き詰まったときに絶対にしてはいけないのは、手を止めて考えにふけることだという。ラクガキをする人なら、リンダの言いたいことがよくわかるはずだ。ささやかな行為に見えても、自らの手を使って何かを生み出そうとすることには、身動きが取れない状態から自分を解き放つだけでなく、世界を見る方法や理解する方法まで変える効果がある。手を動かせば、くよくよしたり空想したりするためにとりとめなく使われて消散してしまうエネルギーを活用できる。
描きながら考える力 ・・4つのラクガキ学習法から引用
そして、その情報を精査して、まとめ上げる。
というのは、この本でツール化されたドゥードルのちから。
ビジネスや教育現場で、ほんとに役に立ちそう。
その方法について興味のある人は、是非手にとって読んでみて。
ビジュアルリテラシー
それから、とても気になったのが、 ビジュアルリテラシーという言葉。
リテラシーというのはその分野での「読みと記述」の能力のこと。
この本では、
リテラシーは
IDENTIFY 認識・ UNDERSTSND 理解・INTERPRET解釈・CRATE 創造・COMMUNICATE伝達・COMPUTE計算 する能力のこと
だと書かれている。
言語のリテラシーは言語が主体だけれども、ビジュアル・リテラシーは ビジュアル言語が主体となる。
人は成長し、言語を獲得するときに、ラクガキを軽んじて、 ビジュアル・リテラシーを捨てていった・・・とか。
ラクガキを育て、ビジュアル・リテラシーを高めていく、のが、この本の目的。かな。
(そういえば、音楽リテラシーって言わないな・・・ふと素朴なギモンが横切る。)
直感的な視覚情報
現代のこのネット情報が主流をしめている時代には、視覚的情報を無視することはできない。
私は、視覚、というものに、実は少し懐疑的でもある。
例えば飾り付けられたフォントに人は無意識の感情を煽られるし、色もまた、人の意識を引っ張って言ってしまうことだってある。
また、視覚情報は直感的で、すぐわかってしまう、このすぐ、て、いいときも、よくないときもある、とは思うところ。
使い手にもよるし。読み手にもよる。
だから、そういう危険性も少し、考えておかないとな、とも思う。
ああ、そういうところ、逆に引っ張られないために、ビジュアル・リテラシーが必要、というのもあるかもしれないな。
たとえば、友達同士や会社なんかでやり取りするには、
ドゥードルはとても役立つと思うし、
相手に伝わるように工夫する、とか、
自分で理解するために図にしてみるとか、
そういう思考作業って面白い。
ついでに、全く余談なのだけど、
私のドゥードル帖は ヒグチユウコのスケッチブック。(上の写真)
6冊セットで買って、何冊か人にあげたけど、あとは大事に使ってる。
新シリーズがでないか、期待してるんだけど、出ないかなー。
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