子ども向けのテキスト・バスティン・ピアノベイシックス1(Bastien Piano Basics1)の中の「朝のプレリュード」という曲は、両手でアルペジオをつくりながら上下する曲で、バスティンの中では、珍しく幻想的です。そして、ここでペダルも初登場してきます。
かっこよく速く弾きたい思いが先に立ってしまって、なかなか波打つような流れをつかめない、男の子。急ぎすぎては、あちこちでつんのめってしまいます。
「そりゃ、ゴーカートであっちこっっち草むらに突っ込んでる状態やな。」
と言うと、
「それ、アクセル踏みすぎですね。」
と、なんとも打てば響くお返事。
でも、じゃあ、どんなテンポ感(自分にあった)を掴んでいけばいいのか、ということはピアノだけで教えるのは難しいと思います。
それで今回は、流れだけを追っていくような動線を描いてみることにしました。鉛筆やクレヨンでも良かったのですが、シュトックマーのブロッククレヨンを使って、クレヨンの面で描いていって見ることにしました。最初は、普通の画用紙に描いてもらっていたのですが、思いついてマルマンのSOHO SKETCHというなめらかな紙を使ってみることにしました。これはうんと滑りがよいので、心地よく描くことができます。
ピアノではなかなか思うように表現にまで行きつけない彼ですが、描いている様子を見ていると、たゆたう曲線や、フレーズの折り返し、最後の1オクターブの上行とその余韻まで、心では本当によく感じているのが伝わってきます。何度も色を重ねて描くうちに、それは安定感をまして、自信にもなってきているようでした。
音楽を描くことの良さは、楽器演奏のハードルを取っ払った時に垣間見えるその人の豊かさに気づかせてくれる、ということもあります。単に、上達のために、とか、それだけに使うのは本当にもったいない。
描いているあいだの彼の集中して、充足した表情。
ついアクセルを踏んでしまう癖を持っているのは身体で、そこに折り合いをつかていかなければなりません。習慣的なものを修正していく難しさは、そこに無意識の折り目のようなものがあって、なかなか本人に気づきにくく、過ぎ去ったあとで、その不具合いを感じてしまいます。そこにむきあうには大人も子どもも同じ、相当なエネルギーが必要です。それでも、一生懸命向き合おうとするのは、一つには、描いたものも共有し、認めてもらったという、思いも支えになっていくのではないかと思います。
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シュトックマーのクレヨンは、シュタイナー教育で幼稚園の子どもたちが使っているものです。とにかく発色の美しさは、ピカイチだと思います。いくら重ねても濁らない、というのは、子どもたちの心にもきっと響くものがあるに違いありません。音楽を描く’でも、主旨に合わせて、使うことがあります。
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