思いついて、以前自分で練習していたグラナドスのアンダルーサを引っ張り出してきて弾いてみました。
前に結局、仕上げた、という満足感がなくお蔵入りしたのには、リズム感が本当につかめていなかった、ということがあったので、 そのリズム感・・・スペインのノリ、を掘り下げてみることにしました。
この曲は8分の6拍子、途中で4分の3拍子に変わります。
エンリケ・グラナドス・イ・カンピニャは アルベニスと同じスペイン カタルーニャ地方出身の作曲家。
この「アンダルーサ」というピアノ曲の小品は 12のスペイン舞曲集OP37の5番目の曲になります。 ギターでもよく演奏されていますね。ギターの場合はピアノより、より情緒的な雰囲気が漂っています。
ワークに参加された方に頂いたアリシア・デ・ラローチャの演奏も良かったのですが、この曲は、YouTubeにグラナドス本人の演奏があったので、あえてそれを聞きながら、抑揚をつかむために、スケッチすることにしました。
ですから、描いていく動線はグラナドスの演奏からのインスパイアで描いています。
カタルーニャの音楽は独特で、その拍子の中に深い陰影があります。
カタルーニャ、といえば、モンセラート修道院に14世紀から伝わる、通称「モンセラートの赤い本」と呼ばれる聖歌集が残っていて、楽譜から起こしたCDなどの演奏を聞くと、グレゴリオ聖歌の端正な流れとは全く違う、舞踏を前提としてるかと思われるような身体的な拍子感が漂っていました。カタルーニャ独特の陰影はすでにその頃からあったのでしょうか。
最初は「音楽を描く」ワークで8分の6拍子の時によく使われる横八の字の動線を描いてみようとしたのですが、全然あわない。しばらく、音楽を流しながら、自動的に自分の手を動かしながらその流れに同調するようにやってみるうちに、一拍目の下方向、1〜2拍への移行のときの濃さが伝わってきて、自然に縦方向の八の字を描くようになっていました。
下が試行錯誤中の写真。
流れがつかめてきたので、描き直し。
一拍目は左下へ放り込むような感じ、
3拍目の時にはもう交差点は通過して上の方に向いているので、
3拍対3拍の均等な八の字とはまるで違う流れに。
出来上がりは確かに八の字なのですが、かなり厳密に濃さ、薄さ、速さ緩やかさが厳密で、ここまで描けるようになるのに、苦労しました。やっぱり感じていたとおり、拍・拍子の持つ陰影が際立っている曲だと思います。
途中で拍子は変わるので、別の動きも生まれつつ、基本的にはこの形のオスティナートがうまく流れていく。ルバートもつかみやすい。ルバートするときにも、この濃淡の関係は同じ。
描いた次の日の演奏。
描く前の演奏を録音しておけばよかったと、いつも思うけれど、いつも忘れてしまいます。
もっと、揺れている演奏もいろいろYouTubeにはあったのですが、私はこのくらいがいい。
スケッチするのは、自分が音楽を一つになっていきたいからであって、グラナドスの演奏のとおりに弾く、というのではありません。
この自主練習、私が好きなカタルーニャの作曲家 フェデリコ・モンポウや、上に書いたモンセラートの曲などに触れるときにも何がしか影響していくかもしれません。そういうところで歴史の知識、というのも 音楽の深さを求めるのにやっぱり必要なことなのですね。
追記*この記事を書いたあと、スペインのリズムをいろいろ調べていて、ゆるい速さのところはまだ、掘り下げようがある、と気がついたので、またいつか、ここをスケッチしたいと思います。
*使用した色鉛筆はコヒノール社の マーブル色鉛筆。速い曲の場合は最近ほとんどこれを使っています。
参考* グラナドスについて
エンリケ・グラナドス・イ・カンピニャ
1869年 7月27日 スペインのリレダにうまれ、バルセロナとパリで作曲とピアノを学ぶ。
1916年に 乗っていた客船が魚雷の攻撃を受け沈没する、という事件に巻き込まれ亡くなる。一度自力で浮かび上がったものの、妻が海に漂っているのを見て迷わず再び飛び込んだという話も。
作風は 詩的でかつロマンティックなピアノ曲がよく知られる。スペイン民俗音楽に根ざした作品が多いが、それらを近代的な作曲スタイルのうちに昇華させており、マヌエル・デ・ファリャに連なる近代スペイン音楽の開拓者といえる。 (Wikipediaから引用)
作曲したピアノ曲
12のスペイン舞曲op.37(1892-1900)
ゆるやかな舞曲
詩的な情景第1集(1904-1907)(全3曲)
詩的な情景第2集(1904-1907)(全4曲)
ロマンティックな情景(全6曲)
スペイン民謡による小品集(全6曲)
ゴイェスカス(1911)(全7曲)
演奏会用アレグロ(1904)
ほか歌劇や歌曲もあるそうです。
トナディーリャス(全15曲)
カンシオネス・アマトリアス(1887)(全7曲)
ギター曲ありそうでないのですね。以外でした。
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