音楽を描くという方法でできることとできないこと

あけましておめでとうございます。

年が改まりました。
今年の私の目標はちょっと硬い言葉ですが「原点回帰」

その原点回帰ということを踏まえて、音楽を描くという方法で、できることとできないことについて書いておきたいと思います。


この講座が独特なのは、クレヨンで音楽と自分を結んでいく、というその方法ですが、それはその奥に「音楽がうまれる場所から出発」という捉え方や発想があるから、そこから自然にその表現として生まれてきたものです。「音楽を描く」という手法自体はその道具に過ぎません。

音楽がうまれる場所は3つ。

* 歴史の中で
* 一人の人の成長段階の中で
* 今、ここというリアルな時間の中で

ですから、この3点を見つめながら、ワークは進められます。
そうして、絡まっている時間の要素を解きほぐし「多層性」の理解によって音楽の原点に戻っていきます。
この多層性を例えば、ミルフィーユやパイ生地みたいな、地層みたいなものだと想像してみてください。そして絡んでいる層をより分けたり、絡まっている余計なものを取り除いたり・・・講座や個人レッスンでやっていくのは、そういうことです。でも、それだけでは、足りない。いくら層を分けていっても、本当のものになっていかない。分けていったことで通りの良くなった層を縦に貫いていくものが大事なのです。そして、それこそが、この講座の中の一番の要であり「教えられないこと」なのです。横の層を縦に貫いて一つにしていくものは、「直感」や「気づき」と言った、その人の中にしか生まれないものだからです。この講座でいつも 「個人の体験が大事」と言っているのは、そういうわけです。

自分で感じることから学んでいく。

それはこの直感を産みだすためです。

音楽の要素を地道に捉える作業を繰り返すうち、一度分けたものが再び自分の中でくくられて、一つの音楽の大切なエッセンスに触れる、そこに至るまでには一人の人の中の細やかなプロセスが必要なのです。

私はこれまで、この道具を私の使い勝手によって、人に提示してきた部分というのが大きかったと思います。今ここの要素から、必要な情報を導きだして、ひとつの フォルム(フィギュア)にして、私が描く。それを写し取ってもらうことで、音楽を流れよくしていく、というような・・・これはこれで、ある効果は見えてくるのですが、それだけでは一過性のものに終わってしまいます。そこに本当にその人が関わっていくプロセスを省いてしまうからですね。

さらに、私との身体的、音楽感覚的に質の違うものを持っている人や、この「音楽を描く」という道具の使い方に慣れていない場合などは個人の体験を導くどころか、 逆に、相手にとっては強制されたような違和感を持つ場合があります。にも関わらずそれを共有しようとすると「音楽プロセス体験」からは遠ざかった、結果主義・全体主義に陥ってしまうことになってしまいます。
それで、私がある意味「こたえ」を先に導いてしまうことは、受ける人の本当の芸術的な体験にはなっていかない、と考えるようになってきました。これは即効性もあるので、求められるのもわかりますが、あえて、私はこれを極力 それぞれの直感力を信じ待ってみることにしようとおもいます。

直感というのは、本人の柔軟性や視野の広さ、感覚の広がり、既製のものを手放すこと・・そうした細やかな積み重ねによって、準備が整ってくるに従って、恩寵のように、その人の中に湧いてきます。

それまでというのは地道な繰り返しであったり、理解に苦しんだり・・・それはおそらく、どんな芸術に携わる人も真摯に対象と向き合う行為のなかにあるものだと思うのです。それをなしに、何かを得ようとしてもそれは無理です。このワークをやってみようと思う人はどんなにささやかでもいいけれど、「自分の音楽を生み出してみよう」という起点を持つことが大切なのです。一人の人の中も「多層性」ですから、いろんな感じ方や考え方があってよいのです。でも、その中に一つ、そうした思いがあることにによって自分の足場を作ることができるようになるでしょう。
「音楽を描く」という道具の背後にある理論を「音楽プロセス体験」と呼んでいますが、決して簡単なものではありません。でも、こうやって言葉によって理解することも大切な道です。

この講座は、楽器の演奏の上達や、表現力の上達を目的とするのではなく、音楽と自分自身の中に芸術的体験を取り戻すことにあります。
それは自分自身によって、掴む、つかもうとする仕草から生まれてきます。
講座を開く私の側からすれば、それをどう大切に扱っていくか、ということがこのワークが本当に生きたものにしていくか、ということにつながっていくのだと考えています。

今年の目標を原点回帰と書きましたが、考えてみたら、このワークそのものが「原点回帰」なのですね。いつもゼロに引き戻す。それでいいと思っています。
本当にその人の中で生きたものになっていくワークになるまで、講座自体も何度も原点を見誤り、また戻る。これまでやってきたようにこれからもそれを繰り返していこうと心新たに誓いなおす新年です。

この講座でできること

音楽の要素を多層的に捉える方法を学ぶ。
時間軸から多くの情報を引き出す方法を学ぶ。

自分にしかできないこと

理解、と体験。かんじること。直感。気づき。