一般的に”素描”と訳される、sketchとdrawingの違いって、なんだろう?

utena methodの「音楽を描く」という学習方法の、「描く」というのを 英語に訳すと、sketchなのかdrawingなのか、どっちなんだろうと思って、英語辞典をいろいろ検索してみた。少なくとも、デッサンではないなあと思う。

感覚を伸ばす音楽講座/音楽を描く音楽を描く’という方法は、音楽に合わせて絵を描く、ということが目的なのではない。
動線を描きながら、描いている自分の感覚を開き、音楽が時間軸・空間軸の中にどんなふうに息づいているかを体験的に理解することにある。また、そうした理解によって、音楽に対する自分のマッピングを修正したり、自分自身の内側にある音楽への愛着や気付きをもたらす、という目的のために行うもの。だから、少し違和感はあるかもしれないけれども、この方法を音楽を「描く」という動詞にしている。

けれど、文章を書いたり、人に伝えたりするときに、この動詞で終わる講座名は使いづらいときもある。かと言って、「音楽絵画」だと、もう目的とずれまくってしまうから、なんとなくそのへんをぼやかす感じで、ときにsketchといい、ときに drawingと表現してきたけれど、あれ、そもそも、 sketchとdrawingってどんな違いがあるんだろうか、と気になり始めた。

多分、sketch と drawing は、「ちゃんとした絵画」や出来上がったもの、に対して、そうじゃない、シャカシャカと描かれた線や、設計図のことを言うから、そういう点では同じ言葉。音楽を描くというのも、描いた絵というのはもう描いて済んでしまった後に残ったもので、絵画として完成させることにそれほど大きな意味はないから、「ちゃんとした絵」ではない。その点では、sketchや drawingのお仲間と言える。でも、じゃあ、どっち?それともどっちでもいい?

調べてみてわかったこと。
大まかに言うと、sketchは略図や輪郭、drawingの drawは「引く」の意味から生まれたものらしい。そこからdrawingは「線を引く」ということの延長上での描くということになる。

もう少し drawについて突っ込んでみよう。

webilo英和辞典 draw

webilo英和辞典 を読んでいると、drawには 「滑らかにゆっくり引っ張って、ある焦点に届く」という意味合いになるということらしい。ということは、そこに動作が含まれるということであり、引くから目的に到達するまでの時間の経過があるということ、スケッチにはそれがない。

sketchを「描く」と同じように 動詞として、訳すと
要点または概要を、ざっと簡潔に記述する、または、要点または要約を与える、
という意味にもなるらしい。

この、sketchという言葉に含まれる、 要点や概要の輪郭をざっくり掴む、みたいなところは、utenaの音楽を描く方法にもある。例えば、音楽の構成を掴むときや、オスティナートといって、同じ動線の繰り返しを描くものなど。
部分的には、sketch というほうが近いかもしれない。
また、スケッチ、というほうが馴染みがいい、というのもあるな。ドローイング、というと少し大仰に聞こえる。

けれど、全体として使うとしたら、どうもdrawingのほうじゃないかな、と考えている。
また、この方法は、ラフさがありながら結構厳密に時間や空間のリアリティを引き出してくる緻密な部分があるから、馴染みが良いからと言ってスケッチで通してしまうのは、どこか性質のズレみないなものがあり、人にもこの方法が うまく伝わっていかないんじゃないかと思う。

だから、結論としては、
部分的にはスケッチと読んでもありだけれども、
この方法の本質的なものや、全体を示すときには ドローイングを使う、ということにしよう。

調べてみて面白かったのは、同じ「描く」という行為でも、sketchと drawingの 焦点のあたっている場所のちがい、だった。それは、取りも直さず、utenaの「音楽を描く」に初めて出会った人が最初は、音楽の略図として捉えていたものが、深まるに連れて、それだけではないんだなって気がついていくこと・・・音楽や自分自身の感覚からなにかを「引き出してくる」ことだと気づいていく過程に似ているとも思えたことだった。それは、私がこの方法で講座を始めたときから伝える困難さに壁を感じていた、それの違い、それによく似てた、ってことだった。

言葉っていうのはひとつひとつ生きてるんだねー。
言葉っていうのは、使う人の精度によってその息づき方も変わってくる。
結局どっちも場面によってはありだし、使う人の体験によっても違うってことなんだけれど、調べてみてよかったなと思う。