五感で学ぶ音楽メソッド・music   drawing

たかがスケール、されどスケールで・・

スケールだけでも、練習のしようはいろいろ

ハノン練習曲集に入っている両手4オクターブのスケール練習は、大学入試の科目だったために高校生のとき全調弾いて以来、時々思い出して弾いてみる。

久しぶりに弾いたら、これが面白くて(なんでもはまり込むと飽きないのが、長所で欠点の私)一週間ほど前から、一日一つの調だけ、納得行くまで弾くようにした。

まだ長調でドからはじめて、いまB♭(シの♭)までいったところ。ついでに、カデンツと、アルペジオも弾く。

指使いがきこえてくるような、波のあるスケールも弾きようでは味があってよいなーと個人的には思うから、その方向でクオリティをあげる、という練習もあるだろう。

また、拍子を浮き立たせてアクセントを入れ、疾走感をだすとか・・・それなら左右をよく聞いて徹底的に揃える。揃わない場所を洗い出して、磨くというのもあるな。

4オクターブを行って帰ってターンして二往復して、そのループをメロディのフレーズとして磨く、という方法もある。何やったって面白い。

打鍵のロスをなくす

で、今回はまっているのは、打鍵のロスを少なくして隣の音とのつなぎの良い、粒のそろった速い弾き方。

それを邪魔するもの。

黒鍵の次の白鍵を弾く時、高低差が身体に入ってないと、ごく僅かな抵抗が身体に残り、それがスケール全体を滑らかにする妨げになる。

それから、上行から下行に転じる所での左の親指の返しで、崩れるバランス。

そういうこともあって、黒鍵が多いほうが手慣れてしまうと楽で、結局一番むずかしいのが、黒鍵2つのこのB♭と、D(レ)。

指は重みだけでまっすぐ落ちるような方向、もちろん、指は10本全部同じ方向を向いてはいないし、スケール自体も調によって、白鍵・黒鍵の組み合わせが違うから、均一に、というような単純な話ではない。そのなかで、ストン、とロスなく落ちる方向がある。そう、それに気がついて、やりはじめたんだっけ。

親指を軸に回すところで、次の指がはじけて行き過ぎているのを、力技でねじって鍵盤に落としている場所がある。

思いの外、それがストレスになっていて、指は素直な動きをしてくれない。

指の先、鍵盤に当たる小さな身体の部位の触感を身体全体で味わって、鍵盤との出会いという歓び、そこから弦に伝わって音になるまでも身体化していく。ふいに手の甲の余計な力が抜ける。抜けてから、ああこれが抵抗してたんだ、と気付く。

うまく連動するとたのしい!

動きを細やかに判断するー音楽を描く’の応用

実際に描いて練習するわけではないけれど、こういうときも、役立っている。
あ、それがよく分かるから楽しいんだ。

指の動き、鍵盤の凹み、弦の反応、そこを行き来する意識やもっと物理的な動きは、「きく」ことによって、それを動きに連動させられる。身体という存在とピアノという物理的発音器、その間を渡るエネルギー、動き。それをどこへ持っていきたいか、という意識。

こうやってことばにしているけれど、言語はそこに介在しない。

音の向かう方向に、目を開いているような、あの感覚、そこに自分が確かにいて、何かを感じているというあの感じは、夢中になる。

昔、テクニックの練習というのは無味乾燥でつまらない、と思っていた。それはどこか競争へと駆り立てるから。

でも、今はどこへ向かうでもなく、だたスケールの練習をする、この楽しさがなんともいい。

それに年を取ってくると、身体を長持ちさせないとなって思うようになったしな。

それは、自分を愛するってことでもあるんだろな。

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写真は、昨日撮った、ピアノの側面。庭の風景が映り込むから、このアングルが好き。ピアノ、磨かなきゃ。