耳のしくみ

ザリガニは、自分の触覚の付け根にある穴の中に砂粒を一ついれて、自分と地平の傾きの関係を・・・つまり平衡感覚を作るのだそうです。その穴の中には感覚毛があって、砂が傾くとその感覚毛に触れて、それが脳に伝達される、というわけ。ザリガニが脱皮の度に自分のハサミで自分の耳の穴に砂粒を入れる所を想像すると、なんとも楽しい。まだ砂の入っていないその時に平衡感覚はまだないわけだから、おっとっと・・・とふらふらしながら入れるんでしょうか。

なんとも愛おしいザリガニくんですが、この記事の主人公は彼ではなくて、穴の中の感覚毛の方です。この感覚毛、魚の場合は体のよこにある点々のなかにあり、水の動きを感知します。感覚毛は、動きながら、外の環境から自分の位置を安定的に定置させる、という役割なのです。

この感覚毛、丘に上がった哺乳類は、耳の中で働いているのです。

耳、といえば、「きく」器官ですが、それだけではなく、「平衡感覚」という生命維持に大切なもう一つの感覚を持っています。そして、きくという機能は、この平衡感覚と同じ膜迷路という部屋の中にあり、ともにこの感覚毛が繊細な働きをしているのだそうです。「きく」という機能は、平衡感覚から分岐してできた、進化の過程から見るとあたらしい器官なのです。

耳のしくみ

半規管には耳石が感覚毛の上にあって、これはザリガニの石と同じ役割をします。(もっとも、特殊なのはザリガニの方で、他の平衡感覚を持つ生きものはみな自前の石をもっています。)

そして半規管の奥に、音を聞き分ける蝸牛管(かぎゅうかん)があります。蝸牛管のなかにも感覚毛が生えて(?)います。

蝸牛管は、入り口が高い音、奥に行くほど低い音を拾うようになっているそうです。老人性難聴の場合、高い方、つまり入り口から老化していくのだそうな。

平衡感覚と音高を聞き取る感覚。

あらためてこの近さの意味を感じることがありました。

「音楽を描く」のレッスンに通われている方が、ピッチ感が安定してくると同時に、平衡感覚がもどってきた、というのでした。
その方は、(おそらく器質的と言うよりは内面的な事情で)坂道がよくわからず、躓くことが多かった、何処か平面的に傾斜を捉えていたのが、傾斜が傾斜にちゃんとみえるんだ、と。
因果関係がはっきりしているわけではないのですが、半規管の中の血行が良くなったとか、ピンパ液の流れが良くなったとか、そういうこともあるのかなあと、思いました。
私はこの話から、逆に感覚のほうに興味が湧いて、それでちょっと調べてみたくなったのです。

この記事を書いている人の
音楽ワークショップ「音楽を描く」は
こちら→ です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です