エリーゼのために

音楽を描く・エリーゼのために

「エリーゼのために」の ミ ミ ミ・・のオクターブでつんのめる

まだ私が若かったころ、「 エリーゼのために」は鬼門でした。

なぜなら、 ミ ミ ミ・・のオクターブのあとが繋がらないのです。

取ってつけた感じが気持ち悪いので、たいしていい曲だという思いもありませんでした。

そこで、「描いて」みることにしたのです。

「音楽を描く」はしっくり行かない原因を探るのに向いています。

拍子を描いてみようとあらためて楽譜を出してきてみて、

!なんと・・

自分が何十年も間違ってきていたことにこの時初めて気がついたのでした。

そりゃ、しっくりこないはずですやん。

私は漠然と8分の6くらいに感じていたのです。
一小節を左がみっつ 右が3つの音で駆け上がるアルペジオでできているでしょう?そのイメージですね。8分の6・・つまり、一小節を3 と3で区切る2拍子系、ということです。それも跳躍が大きくなり裏拍からのスラーでつなぐ あえぐようなアルペジオのところなど、全然拍子など考えていなかったので、ミレミレの数がわからなくなってしまう、というわけ。この辺はきっと勢いで弾くのだ、くらいにアバウトに捉えていたのですね。

スケッチをしながら、いろいろ手探りで捉え直していきました。

さすがはベートヴェン。素晴らしいリズム構成でした・・

ということで、そのからくりをば、紐解いていってみましょう。

 

「エリーゼの為に」の楽譜を眺める

「エリーゼのために」の冒頭部分

そう、この曲は8分の3拍子。

3拍子で転がっていくべき曲なのですね。
最初は弾きながら、自分の間違った捉え方を修正しようとしたのですが、そうすると、形にとらわれて強制的になってしまいます。
それで、スケッチ。

「音楽を描く」で拍子を整える

エリーゼの為に アナリーゼスケッチ

2小節のループで描いています。
私は、拍一つ一つの性格も有機的に捉えたいので、こんな複雑なオスティナートになってしまうのですが、なれない場合、単純に3拍子で三角を描くのでも、成果は十分にあると思います。三角でやってみてから、このオスティナートをやってみると、その違いがわかっていいかもしれません。

最初はメロディをゆっくり口ずさみながら。 オクターブの大きな跳躍のところなどは丁寧に。それから、32分音符の連なりの速いパッセージも拍子の頭を感覚の中に丁寧に取り入れていってみます。ここまでテンポはかなりゆっくりで、そして気持ちを切らさないように気をつけながら。

そう、例のミミミのところも、3拍子にゆっくりと収めていきます。拍子の頭はどこでしょう、体感として受け止められるまで、なんども。

その後、

テンポ通りにするには上のスケッチでは無理がいきますので、下のようにいろいろ模索しつつ、拍子をとらえた、もっと全体の流れの見えるスケッチに形を変えていきます。
エリーゼの為に 流れをつかむためのスケッチ

自分が勘違いしていたところは、とくに完全に修正できるまで。

なんといってももう何十年も勘違いして生きてきていますから、手強いです。

そうして、身体的にも納得がいってから、ピアノの練習を始めました。

ベートーヴェンの多重の拍子感覚

勘違いしていたところを修正すると、この曲が全然違った趣になってきたのです。

ああ、さすが、ベートヴェン!

私は実はこの曲本当にベートヴェンの曲なのか、疑っていましたが、改めてこの曲の細やかで美しいリズムの成り立ちに、鳥肌が立ってしまいました。間違いなくこれはベートーヴェンの曲だと思います。

私はこの曲を2拍子系と勘違いしていたのですが、それも彼の意図のうち、でもあったのでしょう。
だからああいう誤解を招く表記になっているのです。
そうすることによって、拍子は一般的な 強弱弱の繰り返しにとどまらない、立体的なリズムベースを持つことになります。

そう考えると、2拍子に捉えていた、というのも間違いではない、のですよね。

大切なエッセンスは、単に3拍子を正確にとらえる、ということだけではなさそうです。
メロディ冒頭は2拍子、3拍子どちらもあるからこそ、このとても小さな曲が、人の心に残っていくのかもしれません。

こうした複合的な揺れが、この曲の本領なのだと思いました。
大人が演奏しようとして、なかなか手中に収めた感じになりにくいわけです。

メロディの美しさの所以はかなり複雑なようです。

楽譜の赤い矢印のところが拍子の頭になります。

ミレミレミシレドラー とくびれもなく色気もなく無造作に弾いていた自分が恥ずかしい・・・

「音楽を描く」の本領

「音楽を描く」は自分を知る道具であるとともに、その楽曲を体験から理解する道具でもあります。

頭でわかっても身体が反応していかない、聴覚が反応していかない、というときにこのワークは本領を発揮するのです。

やってみると、楽譜を眺めているだけでは気が付かない発見もたくさんあります。

 

 

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