◯を描く

丸のスケッチ

このワークが生まれるまでのもうひとつの出来事

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このワークがまだ形になっていなかったころ、私は一時期マルや螺旋を音楽にあわせるでもなく、もくもくとひたすら描いていた時期がありました。
あれは今考えてもよくわかりませんが、止むに止まれぬ衝動だったのでしょう。
あの頃私は精神的にも不安定でした。
音楽とは何か、という問いにとりつかれたように芸術療法の講座に通ったり、オイリュトミーという舞踏を学んだり、大学でいろんな講座を聴講したりしていたのも実のところ、私自身が不安定で何かを求めていたのかもしれません。
芸術療法の講座が終わった後も、箱庭に通ったり、自分でコラージュをやり重ねたことによって、無意識から湧いてくるものを意識で閉じさせなくていいのだということを、自ずと体得していった、これは後に解法の糸口になってくれたと思います。
そして自分の問いのひとつの答えとして、また、精神的な不安定さを補修する仕草として、それは自然に湧いてきたのでした。
暫く忘れていたことですが、一度オイリュトミーの講座と一緒にあった宇佐美陽一さんのドローイングの講座の中で、炭で丸を描く、というのがありました。ずっと無意識の中で時を待っていたのかもしれません。
もともと、私には無意識に丸に対する執着があるらしくて、芸術療法のなかで、内面を描く作業の中でも、コラージュをしても、箱庭をしてもなにがしか必ず、丸が登場してきたのです。私自身、不思議な思いがしたものでした。
その丸が、音楽へとつながっていくのには、それほど多くのエネルギーは費やす必要がありませんでした。音は、現実になっている音楽を聞くまでもなく、その円を無心に描く中に既にあったからです。
今になって思うのは、あの、芸術療法の中でしつこいくらい丸に遭遇した、あの丸こそが、深い部分で音楽と繋がる通路だったということです。
これが「音楽を平面に描く」が、形として生まれる前の出来事です。

 

スケッチの誕生を体験してみよう

丸のスケッチ
さて、私の中でスケッチワークが生まれる経緯を書いたのは、これから「音楽を平面に描く」をやってみよう、という人にとっても、それに似た独特な体験になるだろうと思うからです。
そうであればいいな、と。
クレヨンを手に取って、画用紙に何か描き始める仕草からはじまるその体験は、外になっている音楽を知ることであると同時に、自分の中に備わっている、例えば植物が生命システムに従って成長するような何かを音楽の中に呼び起こすことなのです。
うまくいかない、と嘆かなくても構いません。嘆いても構いませんが。(笑)
・・すべては一つの経過であり、薄布を剥がすように、無意識が体験を押し上げていっている過程なのです。もしつまらなくなてやめたのならそれは、その人にとって今は必要ないからです。どうしても使い勝手良く描きたい、と自分から思うようになってはじめて、体験が始まるのです。ですから、あまり最初からうまく描けちゃって面白くない、というのも逆に体験に結びつかないのですね。うまくいかない、という違和感こそが大事で、このワークは、そうした内側からの力をこそ必要としています。そしていくら描いてもまだ、とおもうようなものなのです。
それでは、◯を描いてみましょう。

まず、音楽なしで、画用紙にマルをグルグルと描いてみましょう。

最初に中央に点を打っておくといいかもしれません。

その時肘や腕を画用紙に固定しないように。

つまり力を固定してきれいに描こうとしないように。少し浮かす感じが描きやすいと思います。

リラックスして。最初はゆっくり。

一つ目でマルが凹んでいてもそのまま続けながら円をループで描き重ねていきます。

少し自由描ける感じになったら、少し早くしてもいいでしょう。
これが基本になります。

そこにはまだ拍も音楽の抑揚もありませんが、動き、としては始まっているのです。
描いた後、画用紙を上下逆にしたり、右か左を正面に持ってきたりして眺めてみます。どうでしょう。ちょっと違って見えると思います。改めて凹んでいたり、出っ張っているところを修正しながら、さらに描き重ねていきます。そしてきれいな円にどんどん近づけていきます。
動きの感覚、方向感覚、力の配分、などを調律していくかんじ。
何度も塗り重ねるので、重なっても綺麗に見える素材で描きましょう。大人は色鉛筆のほうがいいかもしれません。鉛筆でもいいと思います。私も最初は鉛筆から始めました。
これは、まだなにも方向付けられてない力です。そしてそれを螺旋にずらす事によって、リズムが見えてくるようになります。これは円を描いていた時からすでにある力ですが、ずらしていくことで目に見えるようになってきます。一般的にはリズムといったほうが伝わりやすいとおもいますが、これは音楽の用語では「拍」に近いものです。音楽とはまだ重ねないで、描くものの拍を感じてみましょう。カーブはこの段階ではまだ、ずっと同じ力で均等に描いてみましょう。
さて、気が済むまで、ゆっくりと時間を取って、この精神の調律、とでもいいたいこのスケッチを堪能したら、視覚的にも、運動感覚的にも ほんわかした状態になりますので、ここから聴覚を使ってもっと動的なスケッチをはじめてみましょう。音楽を意識しながら描くのです。なんでもいいです。思いついた歌を心で鳴らしもいいし、うたってみてもいい。そっと、描くものと、音楽を連動させていきましょう。意識は朦朧とするのではなく、逆にクリアに感じてくることと思います。

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